すなふきん飛影⑳

たくさんのことがかわっていくが

かわらないこともあるな


まどにてをついて　じぶんにいいきかせるように
むくろはいいました


このさきなんてわかったもんじゃないさ
いつなにがおこるのか
いつしぬのかも


それもわるくはないがな
いつか
おまえがにんげんかいからもどったら
おれはしんでいる

そういうせかいだな

ずっと　これからも

ひえいにせをむけたまま　むくろはことばをきりました

すなふきん飛影⑲

むかでは　まかいじゅうをはしっています
まどのそとは　おなじけしきです

むくろはまどのそとのスピードを　きちんとめでおいながら
つづけました

かわっていったな
ゆうすけがあらわれてから

けしきじゃなくて
ようかいのいしきが　すこしづつ　へんかしている

そのうち　けしきだって　かわるだろうな

ひえいはなにもこたえませんでした

すなふきん飛影⑱

むくろはいすにすわりなおすと　ひえいをしつもんぜめにしました

にんげんかいは　あいかわらずか
ゆうすけは　どうしてる
くらまには　よみがまってると　つたえたか
（もちろんわすれてましたが　いえません）

そして

…まかいは　
ゆうすけが　きてから　かわりはじめたがな

ぽつりとむくろはそうつぶやきました

すなふきん飛影⑰

むくろは　おとこをぞんぶんに　いじめぬいたのか
たしょう　きげんは　よいようです

そのおとこは　むかし　むくろを　どれいとして　あつかっていました
いま　むくろが　まかいじゅうに　なをしれわたらせるほどの
ようかいであるのは　あるいみ　こいつがいなければ
そうならなかったかもしれません
こいつにすてられなければ　すてられようとおもわなければ
きっと　いまのむくろでは　なかったでしょうね

そんなむくろへの　ひえいからのたんじょうびぷれぜんとです
なんどめかととわれたら　それはごそうぞうにおまかせします
でも　そのぷれぜんとをもらったとき　むくろのえがおがありました　
それは　むくろにとって　はじめてのたんじょうびだったかもしれませんね


ひえいがここまで　むくろにするのは　
ひえいのひるいせきを　むくろがずっと　もっていたから
そして
すてられた　
おなじかこをもっているからなのでしょうか

とにかく　ひえいは　ゆきなとちかいくらい　むくろもたいせつです

いつでも　ころせるように
ふくしゅうは　このせかいのながれのなかで　えいえんかもしれません

それほど　むくろは　こわいようかいです

それでも　ひえいがそばにくると　きれいにわらいます

ふたりのひるいせきが　きらりとひかりました

すなふきん飛影⑯

まかいについたひえいはさっそく
むくろの　いどうようさい　むかでへとのりこみました
ひえいだけは　このなかをじゆうに　うごきまわれます
むくろの　ひっとうせんし　だからです
それだけが　りゆうでは　もちろんないのですよ

むくろのへやに　のっくもなくはいると
あるおとこのひめいと　
はんしんが　きかいの　おんながおりました

そのおんなこそ
むくろです
おそろしくしたたかなこえで　ひえいにいいました

おそかったじゃないか　もうすこしはやくこねば　ころしていたものを

おおきなうえきばちには
おおおとこが　みにくく　うめいています
ひえいが　むくろに　あたえたものでした