すなふきん飛影⑨

ゆきなのちりょうをおえて　すこしきがぬけたのか
ひえいはおなかをならしました
ようかいでも　おなかってすくものなんですよ
なにをたべるのか　なにがすきなのかは　
ようかいによって　さまざまですけどね
くらまは　ゆうすけのやたいにいこうかとさそいました
ひえいもほかにあてをしらないし
ゆきなもうなづいているので
さんにんで　やたいへむかうことにしました

すなふきん飛影⑧

ひえいから　くわしくはなしをきくと
くらまは　ゆきなのあしを　ていねいに　みました
あしくびが　あかくはれてしまっています
ねんざのようでした
まかいのやくそうをはって　ほうたいをしっかりまいて　ちりょうはおわり
あしたには　なおるはず
ゆきなは　くらまに　おれいとあやまりのことばをくりかえしました
くらまは　にっこりして　くびをふりました
ようやく　ひえいもあんしんしました　
もちろん　かおには　だしませんでしたけどね

すなふきん飛影⑦

あたりは　ほしぞらのふるよるになっていました
やねをとびとび　あっというまに　くらまのいえに　つきました
くらまは　ひえいのけはいにきづいて　すぐにまどをあけました
そのせなかには　ちょっとほほをあかくした　ゆきながのっています
くらまは　ひえいとゆきなが　きょうだいだということをしっているので
きみょうな　くみあわせに　すこし　おどろきました
そしてにっこり　ほほえんだくらまをみて
ひえいは　いつものように　へやに　あがりこみました

すなふきん飛影⑥

ひえいは　ゆきなのあしをみると　
かるがると　ゆきなを　おんぶしました
とにかく　ここにいても　はじまらない　ちりょうをしなくては

ゆきなは　えんりょしましたが
ひえいは　おろそうとしません

こおりめのゆきなの　あたたかさを　せなかにかんじて
ひえいは　すこしかんがえました

おれが　あにだと　わかったなら
ゆきなは　きっと　しんぱいするだろう
すなふきん　ながれながれていきていく　たたかうのが　すきなんだ
しんぱいは　かけたくない

このままで　いいはずだ

もやもや　そうおもいながら
ひえいは　くらまに　あいにいくことにしました
ゆきなの　ちりょうを　してもらいたいのです

すなふきん飛影⑤

ゆきなは　ひえいが　おにいさんだということをしりません
そんなのは　ひえいも　わかっています
ひえいは　しりあいの　ようかいさん
そんなふうに　おもっていることも　しっています

さて　そうだとしても
ほうっておくわけには　いきません
ゆきなにとって　しりあいには　ちがいないのです

ひえいは　ちかづいて　こえをかけました
ゆきなは　あしをいためたようです